リーマンショックの影響から、一時期日本経済は著しく下降線をたどっていましたが、ここ最近は黒字企業も増え、若干活性化してきた傾向にあります。しかし、消費税引き上げにより消費者の買い渋り等も発生し、なかなか活気ある経済には発展していないのが現状と言えます。
そんな中、企業側は経費削減をして、今の情勢を維持しようとしていますが、闇雲に経費削減を謳っても逆効果になる可能性が大きいのをご存知でしょうか? ただ経費削減を行って、試算表の費用を抑えたとしても、帳簿上に現れない多くのデメリットが発生するのです。
では、経費削減を考える上で間違いを犯しやすい点とは、いったいどんなことでしょうか?
経費削減する上で見落としやすい5つの要素
経費削減を考える上で、忘れてはいけないのは、働く人々のモチベーションを維持することです。経費削減ばかり推し進めてしまって、従業員の気持ちを考えないと、優秀な人材を失ってしまうことにもなります。そうなっては元も子もないのです。
今回は、経費削減を考える上で見落としやすい要素を5つご紹介します。
1.固定資産はリースで代用
車両や什器、備品を新しく導入する際、長い目で見ると購入したほうが得になることは周知の事実です。しかし、その場合は固定資産に計上するため初年度に、多額の減価償却費が発生します。
車両を購入する場合、初年度に減価償却費が多額の上、購入時の初期費用も多額にかかるので、経費削減を打ち出したにも拘わらず、多くの経費負担が掛かってしまいますが、もしリースにした場合、リース期間内は一定の経費が発生するため、収支計画も立てやすく、安定した利益を確保することができます。
大きな買い物をする場合は、購入またはリースかを、見極めることも必要です。
2.人件費削減は逆効果
経費削減といって、誰もが一番に思い浮かぶのが人件費だといえるでしょう。実際問題、経費の中で一番大きな割合を占めているのが人件費となっています。大体の会社が推し進める経費削減は、まず人件費を抑える為、人員整理を行うことからはじめますが、実は人員整理は最終手段ではなくてはいけないのです。
人員削減をして、従業員を減らすことによって残った人たちの仕事は増えるばかり。しかし、仕事を頑張っても給料は上がらない。それでは、従業員の仕事に対してのモチベーションはまったく上がらず、やる気が失せ逆効果となってしまいます。それでは、会社発展は全く見込まれません。
それよりも、ノー残業デーの日を設定し、時間外手当負担を抑えたほうが、企業にとっては有効な手段です。早く社員が帰宅することによって、水道光熱費も抑えることができますし、従業員もリフレッシュする時間が増え、メリットがとっても多くなります。
3.原価を抑えるための間違い
経費削減を考える時は、同時に利益を上げることも考えるのが一般的な企業の取り組み方でしょう。消費者の買い渋り等により、収入が得られない昨今、利益を上げる為に残された道は原価を抑える作業です。
原価購入に関しては、各々の担当者に任せてしまう企業も少なくありません。しかもその場合、担当者は取引先の言いなりになっていて、言い値で購入することが多いのが実情です。それでは、原価を抑えることはできないのです。
経費削減する上で、まず行うのはマーケティング作業です。市場価格をしっかり把握し、取引毎に価格交渉をすることを忘れずに行いましょう。
もし、人員的に余裕があるのなら、原価購入専門のスタッフを常駐させ、原価購入の取引を一手に任せることも、経費削減には大きな効果が現れます。視点を変えて、コストダウンを図ることをお忘れなく。
4.初期投資は惜しまない
時には経費削減の為に、新規設備を導入しなくてはいけない時もあります。
例えば、水道光熱費を下げたい場合、照明全てをLEDにすれば月々の光熱費抑えられます。また太陽光を導入することによって、より多くの経費削減が行えます。
しかし、それらをするには、設備を整える必要があり、初期投資が多額にかかってしまうので、敬遠する企業もとても多いですが、LEDなら3年後、太陽光なら10年以内には投資分を回収できるデータが出ています。投資回収年数が過ぎたらあとはプラスの要素しかなく、明らかに経費削減に大きく貢献します。
初期費用を惜しんでしまっては、大きな経費削減改革を進める事はできないと言えるでしょう。
5.データ分析が必須
経費削減は、ただ試算表とにらめっこしてても答えは出てきません。どの経費に余計な要素が含まれているかをまずは見極め、その余計なものを取り除くにはどのような方法があるかの情報収集をし、現実的にその会社に合った削減できる数値を打ち出さないと、効率良い経費削減はできません。
そのためにも、データを収集し分析することによって、より良質な経費削減案を打ち出すことができるのです。
経費削減を、今あるデータのみで闇雲に行う経営者もいますが、その様な会社は経費削減を成功させることは困難です。情報収集し、分析したデータに基づいて、方向性を見出せる企業こそ、将来性がある会社なのです。
まとめ
いかがでしたか?
経費削減をする場合、全体的に高い数値の経費を抑え様と考えがちです。しかしそれでは、努力した割には結果が出なかったり、将来的に不安定な企業になってしまう恐れもあります。
経費削減は、ある程度の我慢は必要ですが、それによって企業全体がストレスの塊にならない事が最も重要なのです。
経費削減する上で見落としやすい5つの要素
- 固定資産はリースで代用
- 人件費削減は逆効果
- 原価を抑えるための間違い
- 初期投資は惜しまない
- データ分析が必須