クレーマー対応はとても気が重いものです。どんなに誠実に対応をしても怒りがおさまらない方や、ささいな隙を見せるとそこを攻撃してくる方など、手ごわいクレーマーはなぜかどこにでもいます。
しかし見方を変えれば、クレーマーはそれだけ熱意を持って商品やサービスを扱ってくれている方です。満足いく対応ができれば、クレーマーほどリピーターにもなりやすいのです。
クレーマー対応は心理学を活用することで今よりもうまくいきます。クレーマー対応をうまく行うために活用できる心理学とはどのようなものでしょうか?
心理学を用いてクレーマー対応をうまく行う方法
心理学では、様々な心の動きに即した対応技術があります。これをクレーマーの方にも活用してみましょう。今よりももっと満足度向上を期待できる対応が可能です。
今回は心理学を用いてクレーマー対応をうまく行う方法をご紹介します。
1.言い分を全部聞く技術
クレーマー対応の基本は、相手の言い分をとにかく最後まで聞き切ることです。クレーマーの方は不満を全部吐き出してすっきりされることが多いのです。
こちらの対応が丁寧で親身になるほど、クレーマーの方の鬱積は話しながら解消されていきます。これは心理カウンセリングで話すことで問題解決が自然に起こるのと似ています。
カウンセラーは働きかけるわけではなく、ただ聞くのみです。クレーマーの方に対しても、よく聞くことを意識しましょう。
2.肯定する技術
クレーマー対応で必須になるのが肯定する技術です。
心理カウンセリングでは、相手を善悪の判断なしに無条件に肯定する姿勢が求められます。たとえ言っていることが多少ずれていても、相手の存在を肯定する対応を意識します。
クレーマー対応が心理カウンセリングと異なる点は、相手の言い分に対して「お客様の言い分は正しいです」と認めてしまうと、こちらの非や相手の求めてきた条件を受け入れてしまう可能性があることです。これは新たなトラブルのもとになるため、注意が必要です。
クレーマー対応時に求められるのは「お客様の言い分はよくわかります」という否定しない対応であり、決して「正しい」と認めることではありません。
3.観察する技術
心理学では相手を観察する技術を訓練します。非言語的なシグナルから、相手にどれくらいの怒りがあるのか、また怒りが沈静してきたタイミングを計ります。
電話対応であれば話の内容以外に、声のボリュームやピッチ、テンポの変化に意識を向けてみましょう。対面対応であれば表情や顔色の変化も情報に加えることができます。
ボリューム、ピッチ、テンポが落ちてきて安定したタイミングを見計らって、改善策の提案や積極的な謝罪の対応に切り替え、クロージングを図りましょう。
4.心の平静に保つ技術
謝罪や反省の態度を示した対応は必要ですが、あまりに自己卑下や恐怖の感情が対応に現れると、クレーマーの方の怒りはますますエスカレートします。心の状態の平静を保ちつつ、対応をコントロールしましょう。
心理学ではステートコントロールという技術があり、相手の感情に振り回されないよう、これを身につけることは必須です。
ステートコントロールにはさまざまな方法がありますが、わかりやすいものでは自分の呼吸や姿勢を客観的に見ることです。呼吸が浅かったり姿勢が縮こまっているときは、平静さを失いかけているサインととらえ、修正していきましょう。
5.ペースを合わせる技術
一口にクレーマーといっても、論理的なタイプ、感情的なタイプ、早口でまくし立ててくるタイプ、ねちっこいタイプなどさまざまなタイプが存在します。クレーマー対応も相手のタイプに応じて変化させると解決もスムーズです。
心理学ではペーシングという技術があり、これは自分と似ているタイプだと感じると親近感を覚えることを利用して、話をする速度や話の内容を相手に合わせるというものです。
論理的なクレーマーの方には論理的な返答を、感情的なクレーマーの方には感情的な返答をこころがけてみましょう。もっと単純なところでは話の速度や声のボリュームを相手に近づけてみると、対応がうまくいくことも多くあります。
6.本当の意図を探る技術
少し難易度は上がりますが、クレーマーの方の本当に意図するところを読み取り、それに即した対応をとれば、より素晴らしい解決に至ります。
心理カウンセリングでは、言葉とは異なった体の動きなど、ちょっとした相手の反応から本当の意図を探り、対応していきます。本当の意図が何かを意識しながら対応するのが有効でしょう。
クレーマーの方が求めているものは、「うっぷんを吐き出したい」のか「話を聞いてほしい」のか「謝罪してほしい」のか「実利的な代償を必要としている」のか「ほかの人のためにもシステム自体の改善を求めている」のかを見極めましょう。
多くのクレーマーの方にはどの要求も当てはまると思いますが、より強く求めている意図を探り、対応することで時間の短縮を図れると同時に、クレーマーの方の満足度向上にもつながります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ご紹介した心理学を用いた技術を意識することで、クレーマーの方の言葉や感情的な表現に影響されずに適切な対応が可能です。クレーマーの方の要望をできる限り満たし、満足度を上げる対応をこころがけましょう。
心理学を用いてクレーマー対応をうまく行う方法
- 言い分を全部聞く技術
- 肯定する技術
- 観察する技術
- 心の平静に保つ技術
- ペースを合わせる技術
- 本当の意図を探る技術