顧客の期待に応え、期待以上のサービスを提供することでCS(顧客満足度)は向上します。それ自体は当たり前の話になりますが、具体的に何をすればCS向上につながるかを考えるのは、大変難しいと感じることがあるのではないでしょうか。
もちろん「挨拶をする」「清潔感を保つ」などの基本的なサービスの質の向上については、どこも取り組んでいますし、CS向上にとってとても大事なポイントですが、そこは日々向上させたとしても、スタートラインにも立てていないと言えるでしょう。
ではCS向上を考える時に、どこにポイントを置いて考えるのがよいのでしょうか?
CS向上を考える際のポイント
サービスに完成はありません。サービスの質を日々向上させ続けることがCS向上の為には必要です。何に軸を置いてサービスの質向上を考えるかで、成果が変わってきます。CS向上を考える際のポイントをお伝えします。
1.サービスの種類によるCS
CS向上が難しい理由のひとつに、サービスの種類によって顧客の期待が変わってきますし、サービス向上の為の努力の方向性も変わってくることが挙げられます。ファーストフード店のCS向上と、コンサルティングでのCS向上の為にできることは全く違ってきます。
CS向上の為の努力の方向性を考える上で、まず自社のサービスの種類を考え、努力の方向性を決定することが大事になります。有効なサービスの分類方法として、「手順型サービスか気づき型サービスか」「ロートレーニングが必要なサービスかハイトレーニングが必要なサービスか」の2軸での分類があります。
2.手順の重要性とCS
手順型サービスとは、マニュアルに沿って行うサービスになります。マクドナルドやコールセンターなどはまさにマニュアルが完備されていて、いかに完璧にマニュアルの内容をこなすかが、CS向上の鍵になります。
気づき型サービスとは、個人の裁量が大きなサービスで、コンサルティングや会社の経営などはこれに当たります。CS向上で大事になるのは気づきの質を上げる為の能力向上や経験値が求められます。
3.トレーニングレベルとCS
ロートレーニングのサービスとは、清掃サービスや配送サービスのように、特別に経験やトレーニングを必要としないサービスです。こうしたサービスは、いかにルーチンを正確にこなすかがCS向上の鍵になります。
ハイトレーニングのサービスとは、カウンセリングや教師など、長時間にわたる高度な学習や経験を通してサービスレベルを向上させる種類のサービスです。この種のサービスでのCS向上には、センスも必要になりますし、トレーニングにも時間がかかりますので、CS向上の為の努力に成果が見えにくいのが特徴です。
4.CS向上の為の努力の決定
ご紹介した「手順型サービスか気づき型サービスか」「ロートレーニングが必要なサービスかハイトレーニングが必要なサービスか」の2軸を組み合わせてCS向上の為の努力の方向性を決定します。例えば「手順型×ロートレーニング」のサービスでCS向上に大事なのは、マニュアルやチェックリストの整備とそれを正確にこなす為のトレーニングです。
「手順型×ハイトレーニング」の速記士などのサービスでは、長時間にわたるトレーニング計画がCS向上で必要です。「気づき型×ロートレーニング」のラジオ番組などであれば、センスのあるラジオパーソナリティの採用がCS向上の為に必須です。「気づき型×ハイトレーニング」のサービスである、コンサルティングなどのサービスを提供しているのであれば、CS向上は短期間での成果は見えにくいかもしれませんが、経験とナレッジを蓄積していき、CS向上に役立てるべきでしょう。
5.ビジョンの共有とCS
「手順型×ロートレーニング」のサービスだと考えてCS向上の為の手立てを打っても、実はマニュアル通りの対応しかできないことのぎこちなさから、CSが下がってしまうことがあります。
この問題を解決しているのがスターバックスです。スターバックスでは、常識で考えればマニュアル対応の方が効率が良く品質のバラつきをなくす、カフェというサービスにも関わらずマニュアルが一切ありません。その代わりに「豊富な知識を蓄える・参加する」などのシンプルなビジョンを共有することで、個々の判断で質の高いサービスが提供できているのです。
このように、自由度の高い行動指針でスタッフを方向付けることは、痒い所に手が届いて柔軟性のあるサービスが提供でき、成功すればCS向上にとってプラスに働きます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
以前までは不満足の解消である、失点型のCS向上が考え方のメインでしたが、現在は顧客の予想以上を目指す得点型のCS向上が注目されています。そのためにはマニュアルの整備だけではなく、より自由度の高い行動指針を示すことが必要となりますので、CS向上の考え方に取り入れてみましょう。
- サービスの種類によるCS
- 手順の重要性とCS
- トレーニングレベルとCS
- CS向上の為の努力の決定
- ビジョンの共有とCS