原理原則とは、ぶれることのない根本的な指針のことです。「原理」も「原則」も基本的な決まりの意味で、この二つの同意語を重ねることで意味が強調されていて、絶対に揺るがない決まりということになります。
企業でこれにあたるのが企業の根幹となる企業理念になります。もしかすると毎日朝礼の際に企業理念を復唱し、行動に染み付いているかもしれません。原理原則は個人の企業理念のようなものといえば想像しやすいでしょう。判断の基準となりアクションを起こす際は原理原則に立ち返って整合性を取ります。原理原則を個人が持つことによるメリットとはどんなものでしょうか?
原理原則を持つこともメリットとポイント
個人で原理原則を持つことで多くのメリットがあります。ただし原理原則は行動を縛るものにもなりますので、立て方を誤ると弊害が出てきます。そのため、内容で気をつけなければいけないポイントがいくつかあります。
今回は、原理原則を持つことのメリットと、内容のポイントをお伝えします。
1.判断の労力が減る
原理原則を持つことで、判断に迷うような場面で時間や労力を取られることなく判断をすることができます。なにかを判断するというのは実はけっこうな労力を要する作業です。例えばコーヒー豆を購入するという行動ひとつ取っても、銘柄で選ぶか値段で選ぶかパッケージデザインで選ぶかなど判断軸が多くあります。もし原理原則が「世界中の人の最大幸福を追求する」であれば、フェアトレードコーヒーを即座に選ぶという判断を下すでしょう。こうした原理原則に従った判断の連続で、日々の判断に使う労力と時間を大幅に減らすことができます。
2.首尾一貫した行動がとれる
原理原則に従えば、状況や気分に左右されることがない首尾一貫した行動をとることができます。人間は、本来曖昧で矛盾を多く抱えて生活しています。ともすれば昨日の行動と今日の行動がまったく逆のものになり、これは生産性や信頼性にとってマイナスになることもあるでしょう。原理原則があれば後で振り返った時になぜこの判断をしたかが明確です。
3.自分の活動理由が示せる
原理原則に従って日々活動していけば、惰性に流されることなく、着実に理想に向かった行動を積み重ねることができます。これによって自分が今いる立場が自分や他人にとって明確になり、活動理由が示せます。原理原則はアイデンティティにも関わるものなのです。
4.原理原則の数を絞る
原理原則を個人で持つメリットを見てきましたが、このようなメリットを享受するための原理原則の立て方を考えると、数を絞ることが意外に大事です。自分が常に参照できる範囲内の10個以内がよいでしょう。あまり原理原則を多く持ちすぎるとかえって判断に時間がかかってしまいますし、矛盾が生じたりひとつひとつが曖昧にもなります。もしそれ以上になる場合は、営業や社内の人への対応、家庭など場面ごとで分類してそれぞれ10個以内で作成して参照するようにしましょう。
5.原理原則は抽象的なものに
原理原則は目標や願望とは違います。このためあまりに具体的な原理原則は限定的な効果しかありません。例えば「家族との時間を最優先する」という原理原則の場合、毎日残業することが家族との時間を犠牲にすることになりますが、仕事が繁忙期で立ち行かない時はそちらを優先するのが正しいでしょう。
優先順位は普遍的なものではありません。このため原理原則の抽象度をもう少し上げて「他人に幸せを与える」とすれば、家族の幸せのために残業を切り上げる判断ができますし、残業しないことで会社の人に迷惑がかかる場合は残業する判断をします。
6.原理原則を定期的に見直す
原理原則は行動の指針であり、人生を方向づける極めて影響力のあるものです。このため原理原則がうまく機能しているかを定期的にチェックする必要があります。「得意分野にエネルギーを注ぎ込む」という原理原則を立てても、昇進や左遷などで環境が変わった時に得意分野としている領域以外を重点的にこなしていく必要が出てくるかもしれません。また、ただ立てているだけの原理原則は、ずっと壁に飾ってあるポスターのように目に入らなくなっています。現在の環境にあった原理原則を常に保っておきましょう。
いかがでしたか。原理原則を持つことは、素早く判断し首尾一貫した行動をしていくためにも大変有益です。自分の原理原則を作り、それをアイデンティティとして行動を積み重ねていけばきっと自信も他人からの信頼も生まれるでしょう。
まとめ
原理原則を持つこともメリットとポイント
- 判断の労力が減る
- 首尾一貫した行動がとれる
- 自分の活動理由が示せる
- 原理原則の数を絞る
- 原理原則は抽象的なものに
- 原理原則を定期的に見直す