一般的な残業代と休日出勤手当の計算の仕方を知っている人は少ないのではないでしょうか。深夜手当てや、残業手当、休日手当てなどを総括して、割増賃金と呼びます。
労働基準法では、時間外労働や法定休日労働に対して基礎賃金に一定の割増率で計算した割増賃金を支払う義務が使用者にあります。では残業代と休日出勤の計算の仕方のルールとはどうすれば良いのでしょうか?
一般的な残業代と休日出勤手当の計算5つのルールとは
残業代や休日出勤の手当てを計算したことがありますか?割増賃金と呼ばれる労働基準法で定められた賃金は、普段何となく給与明細に書かれているとおり受け取っているかと思います。実際に自分で計算してみることはあまりないでしょう。
会社側がきちんと計算しているかを知るためにも、まず自分で割増賃金がいくらになるのかを計算してから請求してみてはいかがでしょうか。今回は、割増賃金の計算の仕方をご紹介しましょう。
1.割増賃金の基本となるもの
休日出勤手当や残業代などの割増賃金を計算するには、まず基礎賃金を算出する必要があります。基礎賃金を算出するためには、所定賃金(基本給、給料、給与と呼ばれるもの)を確認しておきましょう。
会社によっては、この他通勤手当や家族手当などの各種手当ても賃金として扱われるので、所得賃金に含めて考えます。所定賃金は大抵は、給与明細を見れば分かります。各種手当てが記載されていても、恩給という場合もあるので、就業規則や労働契約書を確認する必要があります。
基礎賃金は所定賃金から除外賃金を引いたものとなりますが、除外賃金とは、前述の通勤手当や家族手当を指す場合が多いでしょう。この基礎賃金を使って、1時間あたりの基礎賃金を出し、割増賃金を計算していくのです。
2.1時間あたりの基礎賃金
1時間あたりの基礎賃金は、月給制の場合、(所定月給ー除外賃金)÷1ヶ月あたりの平均所定労働時間数で算出します。日給制の場合は、(所定日給ー除外賃金)÷1日の所定労働時間(または1日あたりの平均所定労働時間)で算出します。ここで求めた1時間あたりの基礎賃金を、残業代や休日出勤の賃金を計算するときに必要となります。
割増賃金は、実際に時間外労働をした時間、休日労働をした時間、深夜労働をした時間に応じて支払われます。そのため、実労働時間をきちんと算出しておいたほうが良いでしょう。労働時間数は1分単位で計算するのが通常です。
3.割増賃金を計算
残業代は、実際の時間外労働時間(法廷外残業の時間)を1時間あたりの基礎賃金に掛け、ここで算出された金額に残業代の割増率を掛けて計算します。
残業代の割増率は25パーセント増(一定の大企業などは、1ヶ月60時間を超える時間外労働の60時間を超えた残業代の割増率は50パーセント増となります)、深夜手当ては25パーセント増、休日手当ては35パーセント増の割増率で計算されます。
4.分単位で計算する割増賃金
分単位で割増賃金が発生する場合、面倒くさがって分単位での計算をしないで残業代を請求する人もいますが、分単位の労働時間が分かる場合には、必ずその残業代も請求するべきです。分単位もあなたが労働した大切な時間なのですから。
また、会社の算出方法が割増率を労働基準法で定めた割増率より低く設定している場合は、無効となります。きちんと労働基準法で定められている割増率で残業代や休日出勤の賃金を計算すればよいのです。
5.大切なこと
残業代や休日出勤の計算をするときによく間違われるのは、
①基本給のみで割ってしまい、各種手当てを足していない。
②1ヶ月の平均所定労働時間を単純に200時間として計算してしまう。
③割増率を間違えて計算する。
の3点です。
単純に間違えて計算してしまうと、大きな差が出来てしまいます。会社員ならば、貰う給与が低くなり、会社側にとっては、後で社員から指摘された時に大きな損失となるかもしれません。
大切なことは、きちんと労働基準法で決められたルールを守って計算をすることなのです。
まとめ
いかがでしょうか。一般的な残業代と休日出勤手当の計算の仕方のルールをご紹介しました。
意外と多くの会社が決められたルールを守っておらず、労働者が損をしていることもあるようです。自分の給与をきちんと把握するためにも、残業代や休日出勤の賃金の計算を知っておくと良いでしょう。
一般的な残業代と休日出勤手当の計算5つのルールとは
- 割増賃金の基本となるもの
- 1時間あたりの基礎賃金
- 割増賃金を計算
- 分単位で計算する割増賃金
- 大切なこと