あなたは製品を売り込む場合、市場が求めているものと、今までに世の中にないものと、どちらの売り込みをした経験がありますか? 市場が求めているものであれば、それほど努力しなくとも売れるものであり、これはマーケットインにあたります。
その反面、世の中にない新しいものを売り込むときのPR活動には労力が必要であり、これがプロダクトアウトに当たります。プロダクトアウトの製品の多くが設計や製造側のエゴのようなとらえ方をしますが、画期的な提案である製品の多くは、プロダクトアウトによるものです。
誤解されがちなプロダクトアウトに対する理解を深めてみませんか?
目次
成功したプロダクトアウトの事例と5つのポイント
プロダクトアウトはモノづくり側の理論が積み重なったもので、世の中に受け入れられれば大きな功績を残すことになります。
今までに成功を収めたプロダクトアウトの事例と、その成功のための5つのポイントをお伝えします。
1.市場が重要だった電子レンジ
この技術は第二次世界大戦中のレーダー研究の派生として発明されたました。しかし、長いこと家庭用として製品化されることなく、20年程経ってから日本でプロダクトアウトとして日の目を見ることになります。
家庭市場用に投入された当初は、温めのムラがあったり、電子レンジで温めたものを食すると発がん率が高まるなど、ネガティブな意見が多く、中々日本市場に受け入れられなかったものです。
しかし、日本からアメリカ市場へ販売が始まると、広く普及し、現在では多くの食品が電子レンジで調理することを前提としたものになっています。
これは、プロダクトアウトの電子レンジを、日本市場では普及が遅々としていたことから、方向転換をしアメリカ市場へ展開したことが功を奏したと言えます。プロダクトアウトの結果をどの市場にPRするかは、成功への大切なポイントです。
2.草の根運動のウォークマン
この製品は今までの生活を一変させるだけのインパクトのあるプロダクトアウトと言えます。
それまでは、音楽は家やシアターなどで座って聴くものと決まっていました。このプロダクトアウトは、音楽を通勤・通学路や旅行、スポーツをする時にも持ちだすことを可能にしました。
当初はメディアでの取り上げが芳しくなかったため、営業マンや社員が実際に製品を身に付け、街中でデモンストレーションをおこなったという代物です。当時の著名人にも配り、露出度を高めるなど、徹底した草の根PR活動を展開しました。
プロダクトアウト製品として、社員を含めてデモを行う口コミ営業活動は、現在のSNSマーケティングに通じるものが有ります。
3.イメージを創り上げたMacコンピューター
パソコンは現在ではなくてはならない製品になっています。コンピューターの歴史は非常に古く、常に様々な需要があり開発が繰り返されています。
Macコンピュータののプロダクトアウト性は、コンピュータ言語を使わなくとも、アイコンをドラッグすることで操作ができるという点になります。そのためには、マウスを用いるという点でも、従来のコンピュータとは異なるプロダクトアウト製品です。
今のパソコンには欠くことのできない要素を30年程に世の中に送り出した製品は、その未来性を表現するため、有名映画監督リドリー・スコットにTVコマーシャルの制作を委託します。SF映画を彷彿とさせる巧みなCMでプロダクトアウトの製品の先進性を一気にアピールしたのです。
4.コラボのプラズマクラスター空気清浄機
空気清浄機と言えば、フィルターを通してゴミや塵を除くというものが通常でしたが、それをイオン発生技術を応用して空気を浄化するというプロダクトアウトの製品が生み出されました。今ではPM2.5やウィルス対策などに大変人気の製品となっていることは記憶に新しいものです。
口コミ的に広がったこの製品も、最近は「プラズマクラスターはシャープだけ」と唄い、他社との差別化を図っています。
実際に自動車等の空調にも採用されたりと、プロダクトアウトの実力が認められ、家庭用に限らず産業用などでも普及が見られます。
自社製品だけでなく、他社の製品にも同社の技術名を入れさせるところは、宣伝効果も抜群と言えます。
5.世界的イベントになったiPhone
言うまでもなく、多くの人が知っているスマホの代表です。この製品のプロダクトアウト性が優れていることは、今でもその新製品が話題となることからも明らかです。
カリスマ的な会社トップによるアイディアが詰まった製品であり、新製品リリースも一つのイベントとなるほど、インパクトがあります。徹底した情報管理を行い、新製品リリースまでメディアには詳細を明かさないことも、イベントの盛り上がりを高めます。
プロダクトアウトの典型と言える製品は、世界戦略製品でもあり、その販売地域や順序なども、綿密に計算されて決められています。いまやマーケティングリーダーともいえる存在になっています。
まとめ
いかがでしたか。
プロダクトアウトの製品を産み出すには、大変な努力が必要です。産み出された製品はその特性によって、様々なプロモーションの方法があります。どのようなPRを選択するかで、製品の成功へと繋がるのです。
成功したプロダクトアウトの事例と5つのポイント
- 市場が重要だった電子レンジ
- 草の根運動のウォークマン
- イメージを創り上げたMacコンピューター
- コラボのプラズマクラスター空気清浄機
- 世界的イベントになったiPhone