SWOT分析という分析の方法を知っていますか。
これは、自分たちにとって強い部分と弱い部分を内的な視点から見た場合と外的な視点から見るという分析方法のことをいいます。
SWOT分析を正しく理解するためには、まず「SWOT」の意味から頭に入れておかないと、その先の話がややこしくなることでしょう。
また活用事例などを盛り込んで説明をすると、頭に入りやすいかもしれませんね。
では、基本的なSWOT分析を例にあげて考えるには、まずどこから理解すれば良いのでしょうか?
SWOT分析とは?正しく理解するための5つの事例
SWOT分析を正しく理解するためには、まず例を見るよりも先にその言葉の意味を知ることが大切です。
SWOTとは、強みの(Strength)、弱みの(Weakness)の内的要因と、機会の(Opportunity)、脅威の(Threat)の外的要因から成り立っています。
それでは具体例を見てみましょう。
1.味の素のSWOT分析
実際の企業をSWOT分析してみましょう。
「味の素」は言わずとしれた調味料のトップに立つ大きな企業です。
では、この「味の素」を例にSWOT分析してみると、どうなるでしょう。
まず強みという意味の(Strength)は、
- 調味料を扱う企業の中でトップに君臨している企業である
- アミノ酸技術が高く、優位性がある
- アミノ酸技術をもとに、飼料、電子材料、医薬品の分野に事業の領域を広げることが出来ている
- 海外の売上比率が高い
ということです。
ではその逆の弱み(Weakness)はどうでしょうか。
例をあげると、
・飲料用のアミノ酸であるリジン市況の変動が大きく業績に影響を与えることです。
では機会(Opportunity)はどうでしょう。
例をあげると、
- 世界的にアミノ酸の需要が拡大している
- 健康志向が高まっている
- 世界的に食糧需要が増大していること
が外的要因です。
最後に脅威(Threat)ですが、例をあげると、
- 食の安全に不安が高まっている
- 人口の減少や少子高齢化で、国内の食品市場は縮小している
- アミノ酸事業の競争が激しくなってきている
- 国内における個人消費が低迷してきていること
これが「味の素」をSWOT分析した活用事例となります。
2.ソニーのSWOT分析
では、「ソニー」を例にあげてSWOT分析をしてみましょう。
まず「ソニー」の強みといえば、例をあげると、
- 国内、国外問わず強力なブランド力がある
- 映画や金融、音楽などの多角的な事業展開をしている
- 世界最大のAV機器のメーカーであること
では、弱みについてはどうでしょう。
例をあげると、
- 今まで基本としてきたモノづくりの体制が弱体化してきている
- 成長戦略が見えてこない
では、機会はどうでしょうか。
例をあげると、
- 省エネ家電を購入する際に支援する「エコポイント制度」が導入された
- 国内でも国外でも、景気回復への道が見え始めていること
脅威について例をあげると、
- 低価格のスマホが出て市場拡大をしている
- 液晶テレビ市場は、世界的に競争が激しくなってきている
- 競争が激化していることによって、パソコンの低価格化が進みつつある
これが「ソニー」をSWOT分析した活用事例となります。
3.花王のSWOT分析
「花王」と言われて思い浮かべるものは何でしょうか。
「花王」を例にSWOT分析してみましょう。
「花王」の強みとは、例をあげると、
- ブランド力が高い
- 原材料からの一貫生産で体制を保有していること
- 物流や販社制度に対して、優位性がある
- 家庭用品(トイレットペーパー)や、トイレタリー商品のような製品の大手メーカーであること
では弱みについてはどうでしょうか。
例をあげると、
- ケミカル事業に関して売り上げが急下降している
- 国内市場は飽和状態である
- 化粧品の事業の収益が悪い
機会についてはどうでしょうか。
例をあげると、
- アジア市場に成長機会が見られる
- 消費者にメタボリックシンドローム対策の意識向上のために、機能性食品や飲料の成長が期待されています
また脅威は、例をあげると、
- 景気低迷の期間で長期化しそうなのと、価格競争から激しい物価の下落が続いている
- 国内の人口減少が日雑市場の収縮を控えさせている
これが「花王」をSWOT分析した活用事例となります。
4.日本製粉のSWOT分析
「日本製粉」を例にしてSWOT分析をしてみましょう。
「日本製粉」の強みといえば、例をあげると、
- 100年以上の歴史を持っていて、最も古い製粉業界のトップ企業です
- 製粉業界を「日新製粉」とこの「日本製粉」の大手2社で6割を占めるほどの寡占状態
- 市場へのニーズに対する対応力が強いこと
では、弱みはなんでしょうか。
例をあげると、
- 原料価格が変動するリスクが大きく、政府の麦政策の変更に影響されやすい
- 製粉で「日新製粉」にいつも負けてしまい、万年2位である
- 主力としている製粉や食品の事業がすでに成熟産業であること
では、機会はどうでしょう。
例をあげると、
・製粉業界は今、激動の中にあるので業界再編は避けられない状況に置かれている
脅威はどうでしょうか。
例をあげると、
- 個人の消費が低迷し続けている
- 人口の減少と高齢化によって、国内のマーケットの縮小問題が起きている
- 食料品の低価格化が進んでいる
- 外国産小麦の政府受渡価格の変動制や一部銘柄のSBS方式が2007年4月から導入された
これが「日本製粉」をSWOT分析した活用事例となります。
5.ニコンのSWOT分析
「ニコン」を例にしてSWOT分析をしてみましょう。
「ニコン」の強みは、例をあげると、
- 一眼レフ市場においてニコンというブランドは高い競争力を持っている
- 5期連続で最高益を更新している
- 精密技術と光学技術に優位性を持っている
- 液晶露光装置はキャノンとニコンの寡占状態になっていること
また弱みについて例をあげると、
- 露光装置とデジタルカメラという特定事業への依存度が高い
- 海外比率が7割以上もあるので、為替レートの変動に業績の変動が大きな影響を与える
- 露光装置の事業は、高い技術力が必要であるため、技術革新をするとそれに伴うリスクも高く、需要のブレも大きい
機会はどうでしょうか。
例をあげると、
- これからのデジカメ市場は、アジアや南米などの新興国に牽引されて拡大していくと予想されています
- 国内でのデジカメ市場は現在、飽和状態ですが買い替えや買い増しの需要は期待出来ます。
では、脅威はどうでしょう。
例をあげると、
- コンパクトデジタルカメラはライフサイクルが短いので、各社ともに短期間のうちに大量に生産される製品を販売する傾向にあるので、価格競争が激しい
- スマートホンの普及率が上がるにつれ、そのカメラスペックがデジタルカメラと同レベル以上になってきている
- デジカメ市場に国内、国外の電機メーカーなどが参入しているために、競争が激しくなってきている
これが「ニコン」をSWOT分析した活用事例となります。
まとめ
いかがでしょうか。
SWOT分析の活用事例を5つ紹介しました。
このような分析をすることによって、その企業の現状を把握し、その後の経営戦略を策定するために重要な役割を果たしているのです。
細かいSWOT分析することで、経営戦略の仮説設定などを最も効果的に行えるようになるのです。
SWOT分析とは?正しく理解するための5つの事例
- 味の素のSWOT分析
- ソニーのSWOT分析
- 花王のSWOT分析
- 日本製粉のSWOT分析
- ニコンのSWOT分析