モチベーションとは、意欲(やる気)の根源である動機のことを指します。仕事をするには、意欲を満たすための動機付け(モチベーション)がないと、難しい問題や、忙しい日々を乗り切って継続することはとても困難だと言えます。そのモチベーションを維持、高める為に研究された理論を、モチベーション理論と言い、今まで様々な理論が展開されてきました。
理論と言うと、難しく捉えがちですが、モチベーション理論=やる気を向上させる為の方法と考えると、すんなり入ってきやすいでしょう。では、今まで展開されてきたモチベーションを向上させるための有名な理論とは、どんなものがあるのでしょうか?
モチベーションを向上させる為の5つの理論
仕事に対してのモチベーションは、考え方ひとつで大きく変わります。その考えを集約したのが、1900年代中頃から注目を集め始めた様々なモチベーション理論です。
今回は、数あるモチベーション理論の中でも、理解しやすい有名なモチベーション理論を5つご紹介します。
1.マズローの欲求5段階説
欲求5段階説と言うモチベーション理論は、アメリカの心理学者・マズローが唱えたもので、モチベーション理論の中では最も有名です。人間の欲求は5段階に分かれて、それがピラミッド状に構成されていて、低層階の欲求が満たされると、上の段階を欲しがるようになるという理論です。
欲求の5段階は、低層階から以下の通りで、それを仕事に当てはめてみると
■生理的欲求・・・生存・生活する為の欲求
■安全欲求・・・雇用・賃金の安定
■社会的欲求・・・スムーズな人間関係
■尊厳欲求・・・仕事に対しての評価
■自己実現欲求・・・仕事に対しての使命感
となります。
生きるための欲求が満たされると、それ以上の欲が生まれ、その欲を満たすために仕事を頑張るという考えです。モチベーションを維持する為の根本的な事と言えるでしょう。
2.改善策が大事二要因理論
アメリカの臨床心理学者・ハーズバーグが提唱した二要因理論は、仕事をする上で、不満足(衛生要因)が改善されれば満足(動機づけ要因)が得られると考えがちですが、満足と不満足は別の要因であって、不満足を減らしたからと言って満足が十分に得られると唱えています。
仕事をする上で、賃金や雇用形態を改善して不満足を減少させても、認められる喜びや達成感は得られず、モチベーションを維持させることは難しいと言えるでしょう。モチベーションを向上させるには、マイナス要因だけ改善すれば良いという考えはとても危険な考え方です。
3.どっちで見るかXY理論
アメリカの経営学者・マクレガーのXY理論とは、人間の本質を2つの対照的なXとYの2つに分類し、そのタイプによってモチベーションを向上させる方法を変化させると唱えた理論です。
Xとは、「本来人間は怠け者である」という性悪説的な考えをもとに理論を展開し、そのタイプの人にはアメとムチを使い分け、頑張った人には「ご褒美」を与えると唱えています。
それとは対照的なのがYで、「人間は目標達成のためなら努力を惜しまない」との性善説的考えで、そういうタイプの人には、より良い職場環境や目標・責任を与えることによって、モチベーションをドンドン向上させることができると言っています。個人個人をよく把握した上で対応するので、この理論はかなりモチベーションアップには役立つ理論と言えます。
4.方向性を変える公平理論
社会心理学者のJ.S.アダムスが唱えたモチベーション理論は、公平理論です。人は他者と比較されると、それを解消しようとしてモチベーションが上がります。その比較対象が大きければ大きいほど、より強いモチベーションが向上されると唱えています。
比較され不公平感を感じた時、同じ土俵で競うことを考えがちですが、自分の得意分野を発揮して違う方面から攻めて、不公平感を回避することも、モチベーションを保つには必要なのです。
5.期待のピグマリオン効果
アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールが提唱したのが、ピグマリオン効果というモチベーション理論です。人は期待されることによって、効果を発揮します。効果が発揮されるとモチベーションの向上につながり、より多くの能力を引き出すことができます。そのことから、「やればできる!」と期待し、応援することが大事と言えるのです。
モチベーションのアップや維持には、この理論は効果が早く表れる為、多くの管理者が推奨している理論です。
いかがでしたか?
モチベーション理論と言うと、難しく捉えがちですが、今回挙げた理論を読んでみると、実は色々な場面で古くから使われている手法と言う事が分かります。人はモチベーションが上がらないと、働く意欲を無くしてしまいます。もし下がってしまった時には、考え方を見直すことから始めましょう。
まとめ
モチベーションを向上させる為の5つの理論
- マズローの欲求5段階説
- 改善策が大事二要因理論
- どっちで見るかXY理論
- 方向性を変える公平理論
- 期待のピグマリオン効果