社員のメリットの1つに退職金制度が挙げられます。しかし、この退職金制度は日本独自の制度であって、就業規則に制度がある場合は細かい記載は求められますが、法的に制度を設けなくてはいけないとの決まりが一切ありません。その点から、退職金制度は会社独自で成り立っているため、その会社によって計算方法も異なり、退職金の相場は大きく変動します。
退職金を計算する場合、様々な要因から算出しますが、それには必ず理由があり、その計算方法によって大体の相場があります。
では、一般的な退職金相場とは、いったいどのくらいなのでしょう。そして企業はなぜ、その計算方法を取り入れ、退職金を決定しているのでしょうか?
なぜその金額なの?退職金の相場5つの理由
退職金とは、過去には老後の生活保障との意味合いがありましたが、今の時代転職を重ねる人が多く、勤務に対する功労金や賃金の後払いとの見方が強くなってきた為、計算方法も様々で、相場も以前に比べ減少してきました。
今回は、どのような理由からその退職金計算が採用され、一般的な退職金相場はいくらなのか、5つご紹介します。
1.勤続年数に比例
以前の日本は、終身雇用制度が一般的だったため、この勤続年数に応じた退職金計算を採用されてきましたが、転職が当たり前の昨今では、衰退してきた計算方法と言えます。
しかしながら、いまだ中小企業は計算方法が単純と言う利点から、採用している企業も多く、それまでの業績や役職などは関係なく、一律で勤続年数×年額単価を掛けた退職金(金額テーブル方式)が支給されます。年額単価に関しては、勤続年数が長くなればなるほど高額になるのが一般的です。
この場合の退職金相場は、退職金が発生する3年で約20万、5年で50万、10年で大台の100万円を超え、15年で200万円以上とのデータが出ています。
2.基本給によって変化
基本給連動型とは、退職時の基本給×勤続年数による支給係数から計算(掛け算型)される方法です。
一時期多くの会社で採用していました。しかし基本給は、バブル時代に一気に跳ね上がった為、会社の負担が大きくなり、この計算方法はどんどん衰退と一途を辿るようになりました。
この場合の支給係数の相場は、3年で2.7か月、5年で4.5か月、10年で10か月、15年で16.5か月との数字が発表されています。
3.実績支給のポイント制
以前の企業は、年功序列が蔓延していましたが、今ではどの企業も撤廃している制度です。その為、退職金制度も勤続年数や基本給など、年功序列メインの数値を使っての金額テーブル方式や掛け算型を採用しない企業が増えました。
金額テーブル方式や掛け算型に代わって、採用されるようになった退職金計算方法が、ポイント制と呼ばれるものです。大企業を中心に広がりを見せ、今では約4割の企業で採用されています。
ポイント制とは、勤続年数、職能・職務等級、役職を毎年ポイント付与し、退職する際、その合計ポイント×1ポイント単価で退職金が決定されます。
残念ながら、まだまだ勤続年数に対してのポイント率が高い企業が多く、年功序列の色も濃いですが、他の計算方法に比べ会社への貢献度が重視されている方法とも言えます。
ポイント制での退職金相場を見てみると、ハッキリ数字で表されているデータは存在しませんが、全体的に金額テーブル方式や掛け算型に比べ退職金が減少されると言う結果となっています。その点も企業がポイント制を採用する要因と言えるでしょう。
4.自己都合と会社都合
会社を退職する際に、自分から申し出た自己都合退職か、早期退職制度などを利用した会社都合退職かによって、退職金が大きく変わってきます。
早期退職制度を利用した場合の相場は、平均して会社都合の20%増と言う数字が発表されています。リストラの場合の相場は、自己都合に比べ6〜8割退職金が増えるとの結果が出ていますが、実際は交渉次第のとも言えるので、実際多くの退職金を支給されている人もいますし、通常と変わらない退職金と言う人もいます。
但し、懲戒免職の場合は、一切退職金支給されません。
5.退職金ゼロ企業多発
最初に言いましたが、退職金は日本独自の制度です。また退職金は企業にとって退職者が出るたび大きな費用となり、経営状態を圧迫する原因にもなります。
その点から、近年退職金を支給しない企業が多く存在します。
退職金は義務化された制度ではない為、2割近い会社で退職金制度が導入されていません。しかし退職金には賃金後払いとの意味合いもあるので、月額の給料に反映されている場合もあります。
退職金制度の有無に関しては、就業規則もしくは労働条件通知書に記載されていますので、必ず確認をしましょう。
いかがでしょうか?
退職金の相場は、計算方法によって格差がある為、企業毎に退職金金額が大きく異なります。
しかしながら、退職金制度の見直しをする企業も増え、相場も以前に比べ全体的に減少傾向にあります。
退職金の相場を把握したい場合は、就業規則をよく確認し、自己管理することが必要だと言えるでしょう。
まとめ
なぜその金額なの?退職金の相場5つの理由
- 勤続年数に比例
- 基本給によって変化
- 実績支給のポイント制
- 自己都合と会社都合
- 退職金ゼロ企業多発